長野県富士見町 東京から90分、富士山と八ヶ岳を望む高原のリゾート。

3万本のリンドウ祭り|登らずに出会える、入笠山のエゾリンドウ

秋のエゾリンドウの群落と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは尾瀬や野反湖。どちらも見事な群生地ですが、あの青紫に会うには、木道を1時間、2時間と歩かなければたどり着けません。ところが入笠山なら、その手間がいりません。ゴンドラに乗って降りたらすぐにもう湿原。これこそが、入笠山の真骨頂です。

8月22日から9月23日まで開かれる「3万本のリンドウ祭り」。標高1955mの入笠山の澄んだ空気のなかで、エゾリンドウをはじめとする秋のリンドウがいっせいに見頃を迎えます。しかもその群落へは、険しい登山道ではなく、ゴンドラでたどり着けるのです。

山麓駅からゴンドラに揺られること約15分。八ヶ岳を望む空中散歩を楽しんでいるうちに、八ヶ岳を一望するゴンドラ山頂駅へと運ばれます。そこから約10分歩けば標高1,734mの入笠湿原に約3万本のリンドウの花が広がります。本格的な登山装備も、体力も、早起きの縦走もいりません。スニーカーのまま、秋の高原の主役に会いに行けます。

まつりの主役は、なんといってもエゾリンドウ。北海道から本州の高冷地に自生するリンドウ科の多年草で、涼しく湿り気のある高原を好みます。濃い青紫色の筒状の花を茎の上部にまとめて咲かせる姿は、秋の澄んだ空によく映えます。花びらは晴れた日中に開き、曇りや夕暮れには静かに閉じるため、青空の下で訪れると、いちばん華やかな表情に出会えます。エゾリンドウに寄り添うように咲くのは、亜高山帯の草地に育つオヤマリンドウ。開ききらない、つぼみのような凛とした佇まいが、群れて咲くエゾリンドウのあいだに奥行きを添えます。

そもそもリンドウは、涼しく空気の澄んだ高地でこそ本来の深い青を見せる花。夏の名残の暑さが残る低地とはちがい、入笠山では朝晩ひんやりとした高原の気候が、花の色をいっそう鮮やかに引き立てます。花の百名山にも数えられるこの山では、歩を進めるごとに青紫の群れがあらわれ、季節が一歩先を行く秋の風景が広がります。赤とんぼが舞い、色づきはじめた山肌と青紫の花畑が織りなすコントラストは、この時期だけのごほうびです。

そして何より、この光景が都心から驚くほど近いこと。中央自動車道を使えば東京都心から車でおよそ2時間、思い立った週末にすぐ足をのばせます。同じエゾリンドウの群落でも、これほど気軽に、標高2,000m級の秋に飛び込める場所はそう多くありません。歩いてたどり着く花もいいけれど、ゴンドラで会いに行く花も、また格別です。

登らずに出会える、3万本のリンドウ。夏から秋へと山の色が移ろうこの季節だけの特別な景色を、ぜひ気軽に見上げに来てください。

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